はる子の不妊治療日記

32歳1人目不妊。低AMH0.38。この治療記録が1人でも多くの方の役にたてばいいな。

意外と多い、不妊で悩む人たち

こんにちは!

みなさんの周りで、不妊治療をしている人・もしくは不妊治療の末生まれたこどもたちはどれくらいいますか?私は不妊治療を始める時、周りで不妊治療について相談できる人といえば、地元で不妊治療について妊活サロン(不妊治療や流産、不育症など、妊活について相談しあえるような場を作る活動)をしている1つ上の女性くらいでした。

 

しかし、いざ周りに「不妊治療のため帰国します」と打ち明けてみると、友人の中でも「自分も不妊治療したよー」という子がいたり、「お姉ちゃんが不妊治療でだいぶ長い間頑張っていた」と教えてくれたり、びっくりするくらいあっという間に不妊治療ネットワークが広がりました。

 

不妊で悩んでいる人・悩んだことのある人は、思っているよりも多い。それがわたしが実際に肌で感じたことです。今回は、不妊の人はどれくらいいるのか?不妊治療によって生まれたこどもたちはどれくらいいるのか?など、不妊の「現状」について書いていきます。

 

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3組に1組が不妊で悩んでいる!

妊娠を希望しながら思うように妊娠が成立せず、人知れず大きなストレスを抱えている人は少なくありません。国立社会保障・人口問題研究所「2015 年社会保障・人口問題基本調査」によると、2015 年に日本では、不妊を心配したことのある夫婦は3組に1組を超えていますそのうち不妊治療や検査を受けた経験がある(または現在受けている)夫婦は全体で18.2%、子どものいない夫婦では28.2%に上ります。これは、夫婦全体の5.5 組に1組に当たります

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不妊についての心配と治療経験 https://seem.life/lab/438

データは国立社会保障・人口問題研究所「2015 年社会保障・人口問題基本調査」よりhttp://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou15/NFS15_reportALL.pdf




クラスに2人はいる!?体外受精・顕微受精でうまれたこどもたち

現在では少子化傾向と逆に、生殖医療により誕生する子どもの数は年々増加しています。2018年の日本国内における体外受精・顕微受精の治療周期総数*は454,893件。またこの治療を用いたことによる出生児数は過去最多の5万6979人だったことが、日本産婦人科学会の調査でわかりました。この年の総出生数の91万8400人に占める割合は約6%となり、およそ16人に1人が体外受精・顕微受精で生まれた計算になります。約30人のクラスだと、その内約2人は生殖補助医療によって生まれている計算になりますね。

 

*治療周期総数・・・不妊治療は、月経の周期に沿って行われます。月経の「一周期」とは、月経開始日(出血が始まった日)から次の月経開始の前日までのことをいいます。治療周期数とは治療が行なわれた周期数を表します。(≒治療件数)



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厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/30l.pdf

 

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公益社団法人日本産科婦人科学会「ARTデータブック(2018年)」

http://fa.kyorin.co.jp/jsog/readPDF.php?file=72/10/072101229.pdf

厚生労働省 人口動態統計の年間推移(2018)

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei18/dl/03_h1.pdf

 

 

移植の方法としては、受精卵を凍結せずに移植を行う方法(新鮮胚移植)と、受精卵をいったん凍結し、後日子宮内膜を整えた後、凍結した受精卵を溶かして移植する方法(凍結融解胚移植 Frozen-thawed Embryo Transfer:FET)があります。

 

FETは当初、新鮮胚移植に使用しない胚を後日あらためて用いるために導入されたものでした。しかし2007年頃より凍結・融解技術の進歩により、受精卵の生存率は非常に良くなり、FETによる治療の効果が高いこともわかってきており、最近ではFET(凍結融解胚移植)による治療は増加傾向にあります。2018年に生殖医療により誕生した子どもの約8割に、FET(凍結融解胚移植)が用いられています。

 

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公益社団法人日本産科婦人科学会 https://plaza.umin.ac.jp/~jsog-art/2018data_20201001.pdf

年別のFET出生児(凍結融解胚移植による出生児) ・ICSI(顕微受精後、新鮮胚移植による出生児)・IVF(一般体外受精後、新鮮胚移植による出生児)の推移。年々FET出生児の割合が増加している。




今後、不妊に悩む人はますます増加する

最近ニュースやテレビでも、不妊治療について見聞きする機会が増えました。近年日本では、不妊に悩むカップルは増加傾向にあります。晩婚化や子宮内膜症など病気の増加の影響、さらにはストレスなどによる勃起障害やセックスレスなど、健やかな妊娠・出産を阻む要因が多く指摘されているのです。医療技術が進歩し、寿命が長くなった今日においても、出産に適した年齢は昔と変わっておらず、加齢によって子どもを授かりにくくなると言われています。

 

約40年前の1980年、日本女性の平均初婚年齢は25.2歳、そして第一子出生児の母の平均年齢は26.4歳でした。これが2019年にはそれぞれ29.6歳、30.7歳になりました。この40年で、4歳以上も晩婚化・晩産化が進んでいるのです。

 

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厚生労働省 第一子出生時の母の平均年齢の年次推移 第一子出生「30歳超え」が定着

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai19/dl/kekka.pdf

 

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内閣府 平均初婚年齢と出生順位別母の平均年齢の年次推移

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2019/r01webhonpen/html/b1_s1-1-3.html

このように女性の出産年齢の上昇は、「子どもが欲しい」と思ってもなかなか妊娠しないカップルの割合の増加につながっていると考えられます。実際不妊治療のなかでも、体外受精や顕微授精といった生殖補助医療を選択するカップルは、年々増加する傾向にあります。今後もおそらく、こうしたカップルは増えていくと予想されています。

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公益社団法人日本産科婦人科学会 https://plaza.umin.ac.jp/~jsog-art/2018data_20201001.pdf

近年、FET(凍結胚移植) ・ICSI(顕微受精)・IVF体外受精)の治療周期数はそれぞれ増加傾向にある。